青識裁判、勝利解決のご報告

裁判のご報告です。
石川優実 2024.01.08
誰でも

この度、青識亜論を名乗るアカウントとの裁判が終わりましたのでお知らせいたします。

石川が勝訴した一審判決の後、青識氏が控訴し、今回裁判官から和解案が出され、そちらで終了とすることとなりました。

一審判決の詳細はこちらです。

和解案は、青識氏は一審判決で判決として出た33万円を支払うこと、そして、今後はお互いに相手の名前を出してインターネット上で意見を言うことをしない、というものです。

私は青識氏への裁判が始まった時から先日の判決が出る時まで、ほぼ青識氏の名前を出して意見を言うことはしてきませんでした。青識氏は、裁判中も、判決が出た後も引き続き私への「批判」を続けました。それももう今後はなされないということです。

一審判決の時にお伝えしたように、青識氏が今回問題になったツイートをした後に、自分がしたことを反省して、私が嫌がっていることをやめればよかったのだと思います。本来、裁判しないといけないようなことではなかったと思います。

公務員が、ネットで実名も勤務先も明かして、このような女性蔑視的な行動をとれてしまうような社会の現状は怖ろしいです。 

もちろんどんな仕事をしていても、性差別的な言動をしてはならないのは当然ですが、公務員の言動としてこのようなことは許されないということも一言言いたいと思います。

その時のブログに書きましたが、青識氏のツイートによって体調を崩し電車で途中下車したこと、当時病院でストレス性障害と診断されました。

その後も基本的にはずっと体調がよくなく、その時に書いたような死にたいという気持ちも消えず、改めて病院にかかったところ、先日複雑性PTSDを診断されました。

私は16歳の時に初めて性暴力を受けて、その後も映画界での性暴力の告発など様々なことがあったので、これがすべて青識氏のせいだというつもりはありません。

ただ、インターネット上で性暴力を告発してから様々な心無い言葉に晒されてきたし、直接性暴力と関係がなくても、ひどいことをたくさん言われました。いちばん多かったのは、私は「批判をしないで」ではなく、今回の青識氏のツイートのような「デマや私が言っていないことを書かないでくれ」と言っていたのですが、ずっと「批判をしないでくれなんて甘い、自己責任だ、だったら黙れ」ということにすり替えられてきたことです。

複雑性PTSDは、性被害にあった人がなる可能性が高いそうです。

なぜかというと、被害に遭ったことの理解が得にくいことから、心が回復しづらいということなのだそうです。そして、傷はどんどん複雑化するようです。

青識氏の発言を含む、インターネット上での私に対する様々なデマや印象操作、性暴力への二次加害は、私の傷を複雑にしたと感じます。

複雑性PTSDの回復に必要なのは、「コンパッション(思いやり)」だそうです。

私が死にたいという気持ちが消えなかったのも複雑性PTSDによるうつ症状だったということがわかり、薬を飲んだらかなり回復して自分でも驚いています。私の心の問題ではなく、脳がそのような回路になっているからだとお医者さんに説明されて、安心の気持ちです。

そんな私に対してコンパッションとは程遠い言葉をツイートし続けた青識氏は、今後死にたいと感じている人がいたら「あなたが死んでも何も変わりませんよ」なんて言葉をかけずにただツイートしない、ということを選択してほしいなぁと思います。こういう、発信者にとってはなんてことのない発言が、人を回復から遠ざける可能性がある、ということは知っておいてほしいです。

傷ついたことに対して「傷ついたからやめてくれ」と言えることは、大切なことだと思います。それは、傷の回復への一歩だと思います。私の様々な怒りの背景には、沢山の傷つきがありました。

青識氏が私の言っていないことをツイートした時、私はとても傷つきました。青識氏は、そのツイートを削除した理由を、「石川氏がかなりダメージを受けているようなので」といいました。これは、「傷つく石川氏が悪い」ということだと私は理解しました。こうやって、傷ついたというと私が弱いということにされるので、あまりそう思わないようにしてきました。傷ついた時に素直に傷ついたと言えるとか、死にたい時に死にたいと言えることが、絶望からの回復に繋がると思います。

しかしインターネットではそういうことを吐露するとバカにされたりして、言わせないような圧があると感じています。実際私も、それ以降死にたいとか傷ついたとか書くのがこわくなりました。書く時に勇気が必要になりました。そういうことがある中で、人は自分の傷を見ないふりをし、麻痺させ、自分に治療が必要だとは思えずに、ずっと困難な状況のまま生きていくことになるのではないでしょうか。

でも、今回の判決が出て、不法行為と認められるくらいなんだから傷ついてたっておかしくないよね、と思いました。やっぱり、私はとても傷つきました。それを自分が認めるために、この裁判は必要なものでした。

私が今なんとか治療にたどり着けたのは、自分が傷ついたことに対してひとつひとつ諦めずに怒ってきた結果だと思います。でも、他の人に私と同じような遠回りをしてほしくありません。

既に様々な差別や性被害で傷ついた女性たちが、これから先元気な心を取り戻せるように、もう無駄に闘わせないでほしい、という気持ちです。

もう私は残りの人生、楽しいことだけをして生きていきたいです。

裁判にご支援をくださった皆様、改めまして、本当にありがとうございました。

石川優実

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